似合わないジャージとネコのがらをめぐる話

地域ネコと私
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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(写真=PhotoAC

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための緊急事態宣言を受けて、3月下旬から私は家で仕事をするようになった。「巣ごもり」である。職場の人とはチャットツールで連絡を取り合い、必要なデータはクラウドで共有する。

このような生活ではワイシャツもスラックスも必要ない。おうち時間を過ごすのに適した仕事着が必要だ。メルカリなどを利用して、1000円以下の古着というルールのもと、大量にジャージを買った。4月に長袖のジャージを5着、5月になってからは半袖のジャージを3着ほど買った。

adidas、FILA、Kaepa、umbro……。若き日に憧れていたメーカーのジャージを格安で手に入れられたので、非常事態宣言中の私は常に上機嫌だった。ジャージが届くたび、妻に見せびらかし、「ねえ、みてみて。似合うかな、似合うかな」とか言ったりしていた。

白いジャージを着た私に妻はこういった。

「あなたは白いジャージが似合わないね。ネコにも、黄色いのとか、しま模様があるのとか、ぶちがあるのとかあるでしょう。かわいいネコもいれば、そうでないものもいるけど。ネコたちは、きっと自分たちがどんな模様のネコなのか分かっていないに違いないと思うの」

ネコのがらをめぐる話を続けた。

「ネコはぶさいくながらでも着替えられない。あなたは人間なのだから、わざわざぶさいくな服を着る必要はないのよ。次は私が選ぶ」

妻はこう唱えたのだった。

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