たべある記

夏も終わるラーメンの思い出

随想
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

木村 邦彦をフォローする

 13082911-40.jpg
夏が終わろうとしている。
歳の数だけ、夏を過ごしてきた。
好きな季節である。
ある夏の日のことだ。
子どものころ、父に連れられて、二人きりで電車に乗った。
東北本線を仙台から上ってゆき、福島に降りた。
父と私は、塩ラーメンを食べた。
そして、食べ終わると、東北本線を再び下って仙台へ帰ってきた。
いまから、三十年以上前の、子どもの頃の記憶である。
父と二人きりで小旅行をしたのは、これっきりである。
父は旅をする習慣が、あまりない。
そんな父との貴重な思い出である。
なぜ父は、福島に行ったのだろう…。
大人になってから、父に何度聴いてみても、忘れているようだ。
私なりに想像すると、若かりし父は喜多方ラーメンを食べたかったのではないだろうか。
私が食べたラーメンは、きっと喜多方ラーメンだったのだろう。

タイトルとURLをコピーしました