【ドナルド・トランプの月面調査計画】ポスト・アポロ計画、FOR ALL MANKIND

随想
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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アポロ計画のドキュメンタリー「FOR ALL MANKIND」(邦題「宇宙へのフロンティア」)。音楽はブライアン・イーノが担当したドキュメンタリー映画です。幻想的な仙楽「An Ending (Ascent)」も、このドキュメンタリー映画で使用されました。

月には人類を引き寄せる魅力があります。1969年のアポロ11号で初めて人類は月面に降り立ちました。月面に現れた二人。アームストロング船長と船員オルドリンはまるでアダムとエヴァのようです。

アポロ計画は60年代から70年代初頭にかけての計画ですのに、宇宙船などのデザインに古さを感じません。その理由は、私たちには新旧を比較する出来事がないことも挙げられます。72年12月7日、6回目となる月面着陸を最後に人類は月には行っていません。

それから45年を経た2017年12月11日、あのドナルド・トランプ米大統領が人類を再び月へ送り出すと発表しました[1]。発言の背景には火星探査のステップにしたい思惑もあります。

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NASAは月に国際宇宙ステーションを建設するを構想を練っています。ここを足がかりにして、30年代には人類を火星へ送るシナリオです[2]

月や火星に人類が降り立つこと。まるでSF映画が現実化するような夢があります。その一方で、資本主義のドラスチック(徹底的で大胆な)な欲動もあります。月には水があり、アルミニウムなど鉱物資源が眠っていることがわかっています。人類にとってフロンティア(最前線、新天地)とは投資の開拓先にほかなりません。儲かりそうだからこそ、人類は月や火星という市場に向かおうしているのです。

人類は再び月へ、そして火星へ行けるでしょうか。

トランプさんが大統領に就任してから、「環境危機時計」は過去最悪を記録しました[3]。地球環境の悪化に伴う人類存続の「危機感」を時刻で表したもので、1時1分から12時の時刻で表します。旭硝子財団が世界の研究者ら1800人にアンケートをして集計しているものです。18年は前年より14分進んで9時47分。9時以降は「極めて不安」に分類されます。人類に残されている時間は、あと約2時間です。

壮大な宇宙計画は、人間のライフプランに似ています。人(人類)の寿命と計画の達成は追いかけっこです。再び、人類は月というエデンに帰ることができるのかが試されています。

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【脚注】

  1. 「米が新宇宙計画、トランプ氏『人類、 再び月に』」 2017/12/12 日本経済新聞 夕刊
  2. 「第3部 SFを現実に――月面探査は火星への足がかり(ポスト平成の未来学)」 2018/01/11 日本経済新聞 朝刊
  3. 地球環境アンケート:環境危機時計 – 公益財団法人 旭硝子財団
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