【友人間のお金の貸し借り】困っている人を助けるのは美談なの?

人生(LIFE)

会社員。愛読書は中国古典。好きなものはキャッシュレス、なつめチップス、ヤマト屋、ジェロントロジー、ポイ活。

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こんにちはジャスミンです。

私にはだまされやすいタイプの友人がいます。芸術家、起業家、慈善家と多方面の顔を持つA子さんです。彼女はこれまで数々の詐欺師にだまされてきました。「お金に困っているから貸して」と頼まれて、貸した数万円が戻ってこなかったことは数知れません。そんなA子さんから、ある日、電話がかかってきました。

物の貸し借りは嫌いなのに、友人から借金を申し込まれる

A子さんには外国人の友人知人がたくさんいます。「「困っている外国人」にだまされて預貯金を失うほどのダメージをうけた」と泣きついてきました。落ち着かない様子です。その話を聞いていると、私も胸が痛くなってきました。

被害は預貯金だけでありません。定収入がないので家賃も払えません。公共料金を滞納するほど生活に苦しんでいたのです。私は深く同情しました。ところが、A子さんは困惑させることを口にしはじめたのです。

私はお金の貸し借りは嫌いです。

共通の友人B子さんに「ジャスミンならお金を貸してくれる」と提案されたとA子さんは言うのです。

私は物の貸し借りが嫌いですので困りました。B子さんの提案はこれだけでありません。

「ジャスミンの家でワークショップをしよう」という話まで持ちかけていたようです。なにせ、A子さんは芸術家ですので。だからと言って、なぜわが家なのでしょうか。

家族会議を開き、夫と相談しました。そして、今回に限り、数万円を貸すことにしたのです。貸したお金は全額返済していただきました。2年かかりましたが。B子さんと言えば、結局、一銭も貸さなかったようです。

困っている人がいたら積極的に助けるべきか?

今回のお話のA子さんは「困っている人がいたら積極的に助ける。自分も何度も助けらたから」という信条を持っています。定職を持たないA子さんは、私のことを「雇われの身」(やとわれのみ)と呼びます。この言葉にはすっかり毒気を抜かれてしまいます。

私は子どもの頃から親や親戚に「連帯保証人になってはいけないよ」と何度も教えられて育ちました。同じことを言われた方は多いと思います。

連帯保証人になってはいけないよ。

財布の紐が固い堅実な人をA子さんは「冷たい人だ」と言います。私だって一時的に物を借りることはあります。でも、何度も借りるなら、自分で買う方が気兼ねなく使えると思ってしまいます。

持っているものはシェアリングするのが当然なのか?

A子さんと違って、私はごく普通の会社員です。「好きなことよりもできること」を基準にして仕事を続け、特に不満なく過ごしています。かたや、A子さんは「自分が好きなこと」で活動して収入を得ています。定収入はありません。

A子さんは「持っているものはシェアリングするのが当然」という価値観を持っています。いま流行の「シェアリングエコノミー」とは語感が違います。

A子さんが言うところ「持っているもの」は、物質的な「もの」だけではありません。能力や経済力も含みます。無償奉仕純粋美しいという価値観があるようです。だから、本人も周囲に無報酬の仕事を何でも依頼してきます。その結果、いろいろな人との間でトラブルが起こります。

無償奉仕を強要しすぎると友情にひびが入ります。

自分の生活を犠牲にしてまで助ける必要はあるのだろうか?

私のモットーは「借りたものは返す」です。しかし、A子さんは違います。かつて、彼女が言った印象的な言葉を思い出してみました。

「私は世界の隅々までエネルギーを流している。お金はたくさんのエネルギーを透す[1]パイプなんだと思うと楽になった。稼ぐという概念はどうしても私にはそぐなわない。貸したお金は返済されないけど、あきらめるのではなく、差し上げると思っている」

私はこの話を聞いて、思ったことが2つあります。

1つ目は「A子さんは騙されているフリをして誰かにお金を渡したいのかな?」と思ったこと。もう1つは「困っている相手を助けたいけど、自分の生活を犠牲にしてまで助ける必要はあるのだろうか?」と思ったことです。

A子さんにお金を貸して、返済されていない友人がいます。しかし、その友人は「返済されなくてもいい。自分も他の人に何度も助けてもらったから、自分のお金でA子さんを助けている。お金は順繰りに回るから返済にはこだわらない」と言っていました。

私は、このような境地に辿り着けません。こういう考え方もあるんだなと思うことにしました。

借りたものは返す。

最後に、ロマンス詐欺を相手にしてみて感じたことを書いておきます。やはり君子危うきに近寄らず」が鉄則です。怪しいと思ったら全力で逃げることは大事です。しかし、世間には逃げることを知らない人たちもいるようです。


【脚注】

  1. 原文ママ
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