日大アメフト部・内田監督と「うなずく人ほど、うわの空」

レビュー
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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アメフトのフィールド(Photo by PhotoAC

友人が仕える上司は、妙になれなれしかったり、荒い言葉づかいをするそうです。社内でなら百歩譲って許せるとしても、社外でも同じ振る舞いをするので困っているようでした。

ある日、仕事場で電話がなりました。電話をとったのは先の上司です。相手の電波が弱いのか、よく聞こえません。上司は「なんかひとこと言えよ!」と言って切ったそうです。相手には聞こえているかもしれませんのに。

この光景を目撃した友人は顔を青くしました。そのわけは、電話機に表示されていた相手の電話番号は、取引先のものだったからです。この上司のプライドを傷つけないようにして、次のように進言しました。

「無言電話を切るとき、コールセンターのオペレーターなら「お声が聞こえませんので、お電話を置かせていただきます」と言うみたいですよ。」

これに対して上司は「わかった」と言って、爪を切っていたそうです。反省するべき人の言葉と態度が食い違っている場合、どちらを信じたら良いのでしょうか。

世間は近頃、言葉と態度が矛盾する光景を目撃しました。2018年5月19日、派手なピンクのネクタイを締めた日大・内田監督による「かいさい学院大」への謝罪会見です。これもあんまり誠意が伝わってこない会見でした。「すべて私の責任です」とおおざっぱに話しただけ。

臨床心理士の岡村美奈さんは、社会心理学者のピーター・コレットの著書『うなずく人ほど、うわの空―しぐさで本音があばかれる』の中の言葉を引いて次のように指摘しています。

「言葉と無意識の仕草のどちらを信じたらよいかわからない時」は、「仕草を信じよ」が原則

出典:(3ページ目)日大アメフト部・内田正人監督の辞任会見は、なぜ誠意が感じられなかったのか | 文春オンライン、(閲覧日:2018年5月22日)

ここから、すべては見たまんま、なのだと思いました。詫びに誠意を感じられないのは、そもそも誠意がないから。

ここから鑑みますと、爪を切りながら詫びる上司の心に言葉は届いていないと判断できそうです。したがいまして、友人は上司よりも先に受話器をつかむ対策が必要になりましょう。

臨床心理士が紹介した『うなずく人ほど、うわの空―しぐさで本音があばかれる』という興味深いタイトルの本は、なかかなか面白そうです。私も読んでみようと思いました。

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