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【書評】『この一冊で「ことわざ」「慣用句」「四字熟語」が面白いほど身につく!』

学びと読書
モクソン ホウ

法政大学文学部哲学科卒。編集関係の業務に従事。金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味は絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。

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33文字もあるタイトルのKindle本を買いました。「話題の達人倶楽部」 編集の『この一冊で「ことわざ」「慣用句」「四字熟語」が面白いほど身につく!』です。タイトルを見れば一目瞭然。私のような頭が悪い人でも、どんな本なのか分かります。老婆心ですね。

流れる川のあぶくのように、世界のありようや人生はかないものです。幸いに、年を重ねれば知恵もつきます。一方で物覚えは悪くなり、知識もあやふやになって目減りします。知恵と知識は別ものです。はて、「諸刃の剣」は「もろはのけん」だったでしょうか、それとも「もろはのつるぎ」だったでしょうか。

家での会話も語彙力不要の「こそあど言葉」になりがち。私は妻に、めがねの在りかを、こう尋ねることがあります。「あれ、どこだっけ。あれあれ」。

妻が答えます。「ああ、あれね。それはここよ」。

これでは老い先が心もとありません。本書を頼りにしたいと思いました。筆者は、次のように言います。

慣用句やことわざなど、いわゆる「成句」は、日本語の面白さの缶詰。小粋でシャレた言葉、日本語の醍醐味を堪能できる言葉に溢れています。きちんと使いこなせば、会話でも文章でも表現力がアップすること間違いなしです。

 ただ、そうした言葉は、同時に日本語の〝最危険地帯〟でもあります。読み方や使い方に約束事があるだけに、誤って使うととんだ赤恥をかくことになりかねません。

「読み方や使い方に約束事があるだけに、誤って使うととんだ赤恥をかく」と厳しいお言葉です。なるほど、私の人生を振り返れば、赤っ恥そのものでした。

ところが読み進めてすぐ、「おや」と目を疑いました。

画像の引用:『この一冊で「ことわざ」「慣用句」「四字熟語」が面白いほど身につく!』

老婆心を見せておいて、ど、ど、ど、ど、どういうおつもりですか。「目の前で直接見ること。「めのあたり」と読まないように」と忠告をしているのに、ルビはガチに「めのあたり」とふっています。

じゃ、なんて読むんだよ、という話になります。辞書を引きました。明鏡国語辞典第二版では、次のように書いています。

ま‐の‐あたり【目の当たり・目の辺り】
〘名・副〙目の前(で)。
「惨状を━にする」

明鏡国語辞典 第二版 (C) Taishukan, 2011

正解は「まのあたり」でした。

校正の甘さは、この本にとって明らかな「弱み」です。しかし、ものは考えよう。間違い探しの本として楽しめます。目を皿のようにして、新しい魅力(間違い)も見けることにします。

投げっぱなし、言いっぱなし。赤っ恥を筆者と共に味わうスリル満点の464円。

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