【『東京レコード散歩』鈴木啓之(著)を読む】資料的な価値が高い好著

レビュー学びと読書
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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東京散策のナビとして、音楽好きのディスコグラフィーとして、そしてクリエーターの手元にあれば、アイデアの引き出しとして貢献してくれそう。2016年6月発売の新刊『東京レコード散歩: 昭和歌謡の風景をたずねて (TOKYO NEWS BOOKS)』を読んでみた。

本書は、アーカイヴァー・鈴木啓之さんの連載コラムを書籍化したもの。ソリマチアキラさんの表紙イラストも、レトロな雰囲気作りに貢献している。

目次から気になる街を、索引から大好きだったレコードを、どこからめくっても読める。暇つぶしの良きアイテムにもなりますが、むしろ音楽や美術の資料的な価値に注目したい。本書の構成は街が柱になっていて、都市の小史と作者の想いがつづられる。

次に、街にちなんだレコードのアートワークと解説が続く。図版多数の嬉しい作り。

本書(239ページ)に、350枚近くのレコードジャケットの図版が並ぶ。資料的価値は非常に高い。付された解説は簡潔だが、重要なポイントをはずさない。

パラパラとめくり、吉祥寺を聖地に描いた青春ドラマ「俺たちの旅」の話が目に入った。動画サイトに飛んで、ついつい、曲を確認したくなってくる。

作詞作曲は小椋佳さん。先日に日経ホールで聴いた小椋佳さんの歌声も思い出した。良い歌は、時代を経ても新しい。

ページをめくれば、音楽、グラフィックデザイン、テレビドラマ、ファッションが絡み合い、時代の像を結ぶ。東京という文化の街、そして音楽への愛を感じさせるオススメの一冊です。

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