音楽

【オフコース「ever」】鈴木康博の曲が足りない

レビュー
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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 2015年12月16日。オフコースのデビュー45周年を記念して、ベストアルバム「OFF COURSE BEST “ever”」がリリースされました。

 2015年9月18日から11月15日まで実施された「オフコース ベストアルバム エントリー&エピソード募集」で選ばれた「私の一番好きな曲」「私の一番心に残る曲」を反映した選曲のベスト・アルバムになっています01)ever (オフコースのアルバム) – Wikipedia

水曜日の午後 (1973) 詞・曲:小田和正
でももう花はいらない (1973) 詞・曲:鈴木康博
眠れぬ夜 (1975) 詞・曲:小田和正
雨の降る日に (1975) 詞・曲:小田和正
愛の唄 (1975) 詞・曲:小田和正
秋の気配 (1977) 詞・曲:小田和正
夏の終り (1978) 詞・曲:小田和正
愛を止めないで (1979) 詞・曲:小田和正
思いのままに (1979) 詞・曲:小田和正
生まれ来る子供たちのために (1979) 詞・曲:小田和正
さよなら (1979) 詞・曲:小田和正
Yes-No (1980)詞・曲:小田和正

 主要メンバーの一人だった鈴木康博さんも1曲エントリーしています。

『僕の贈り物』から『Still a long way to go』まで、バンドの構成には2人、5人、4人の時代があります。オフコースの黄金時代は、「さよなら」や「YES-YES-YES」などのヒット曲を連発していた5人組の時代であることは間違いありません。

 しかし、小田和正さんと鈴木康博さんのデュオ時代には、いまでいうならキリンジに近い魅力があると思います。

 今回のベストアルバム「ever」には収録されていませんが、オリジナルの曲としてシングルカットされた最初期の曲「僕の贈り物」は、二人を聞き分けるのが難しいほど、魅力な声を聴くことができます。鈴木康博さんに焦点を当てると、アルバム「ワインの匂い」に収録されている『明日への手紙』はのびのある高音域のボーカルが素敵ですし、「Song is Love」に収録されている「青春」は聴きやすく、知的で都会的なフレンチポップを彷彿させます。

 声変わり前の天使のような小田和正さんの声には、声変わりした大人の声を持つ鈴木康博さんの声が必要だったのかもしれません。鈴木康博さんが脱退した後の4人時代になると、無菌室のような、ざらつきのない完璧すぎるサウンドになってゆきます。5人の時代のオフコースのベスト盤「ever」は、バックコーラスや編曲など裏方に徹することの多かった鈴木さんの仕事が、いかに大きな存在だったかを感じさせる作品です。

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