ブライアン・イーノ『Apollo』 Icebreaker – BJ Cole, pedal steel guitar

レビュー
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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 近年、Bang on a Can による“Music for Airports”のように、ブライアン・イーノのアンビエント作品を生演奏するプロジェクトが試みられている。そのひとつとして2009年に、the IMAX cinema at the Science MuseumでIcebreaker featuring BJ Coleよって行われたライブ演奏がある。私たちは、イーノのアンビエント作品は、これまで再演奏は不可能と考えがちだったかもしれない。どれもが、オリジナルを上回る素晴らしい出来だ。

 

■Brian Enoの「Apollo」とは

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 「Apollo: Atmospheres & Soundtracks」(1983年)は 、NASAの要請で制作されたアル·レイナート監督による「For All Mankind」のサウンドトラックアルバム。アポロ計画のドキュメンタリー映画で、ケネディ大統領の演説からはじまり、宇宙飛行士のインタビュー、月面着陸から地球への帰還に至る記録フィルムから構成されている。 楽曲はブライアン·イーノ、ダニエル・ラノワや実弟のロジャー・イーノとの共同作業によって提供されている。
「Apollo: Atmospheres & Soundtracks」は、ブライアン·イーノが提供した楽曲に関しては、ややオカルト的で、暗い。しかしながら、An Ending (Ascent)といったブライアン·イーノを語る上では欠かすことができない名曲も含まれている。
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Brian Eno – An Ending (Ascent)

■ Icebreaker – BJ Cole, pedal steel guitarによる「Apollo」の魅力とは

 Icebreakerはインプロ/クラシシカル・バンドで、2009年のライブ演奏ではペダルスチール・ギタリストのBJ Coleも加わっている。オカルト的で、暗く陰鬱だったオリジナルのサウンドを、「普通に聴ける」レベルまで“引き上げた”印象だ。ほかにも、オリジナルアルバムに収められているダニエル・ラノワの楽曲は、いま聴くにはサウンド的に牧歌的で古くさい。しかし Icebreaker featuring BJ Coleによる再演奏では、楽曲がもともと持っていた輝きや彩りを取り戻している。
Icebreaker – BJ Cole, pedal steel guitarによる「Apollo」を聴く魅力と価値は、もちろん「 An Ending (Ascent)」にあるのかもしれないが、ダニエル・ラノワの仕事を再評価するところなのかもしれない。
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Icebreaker feat. B.J. Cole – ‘An Ending (Ascent)’ Part I (Live)

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【参考・Sauce】
※Apollo [CD, Import]の商品説明より
http://www.amazon.co.jp/Apollo-Eno/dp/B007WB5CVC/ref=cm_cr_pr_product_top
2013年12月12日閲覧。
※ブライアン・イーノ『Apollo』を生演奏で再現、Icebreakerのアルバムから「An Ending (Ascent) II」が試聴可
http://amass.jp/6523
2013年12月12日閲覧。
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