色鉛筆

男どもよ、生き残れ

美術/創作

30代から美術制作を描き始めました。第35回、第34回 現代童画展入選。第20回 日本の自然を描く展 自由部門入選

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ある日、靴屋に行った。そこに、カッコいい革靴に見とれている一人の男がいた。男は、革靴を手に取って、非常に気にいった様子だった。
そこへ妻と小さな子どもがやってきた。男は妻に、靴への賛美を投げかけた。すると、妻は「あんた、怪しい…。あんた、おしゃれして、怪しい…」とつぶやいたのであった。子どもも母と一緒に、「お父さん、怪しいー、あやしいい」と無邪気に目で言った。男は、濡れ衣だ、浮気なんてしていないと言わんばかりに、靴を元の位置に戻したのだった。
彼の人生において、今後はカッコいい靴を履く事はないのかも…とぼくは想像した。
多くの男たちは、歳をとるごとに格好悪くなってゆく。加齢による老い、仕事のストレス、不規則な食事、お洒落が面倒になったから…、理由はいろいろあるだろう。しかし、同時に、女がそれを求めている可能性もあるということに気付いたのだった。妻は、「私の旦那は、格好悪い」と言い嘆きながらも、むしろ安心しているのかもしれない。
そんなことを思いつつ、ぼくは靴屋でカッコいい靴を買った。

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