高級クラブを営むママ・白坂亜紀さんで知る銀座の世界

レビュー
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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「銀座のクラブの何が楽しいのか分からない」という人もいれば、もの目を輝かせる人もいます。私は言わずもがな前者です。何をしにわざわざ銀座まで行くんだろう? 

「銀座」から連想するのは、アップルストアと美術ギャラリーぐらい。そんな私に社会人生活の長いビジネスパーソンのA子さん(40代)が、こんな話を聞かせてくれました。

私は接待で、社長に1度だけ銀座のクラブに連れて行かれたことがあります。ホステスの女の子はグラマーで 社長は胸に目がくぎ付けでした❣

社長は私とはほとんど話もせず、ママとホステスとばかり話し、急に井上陽水の「少年時代」をカラオケで歌い始めたんです。おじさんって、銀座が好きよね。

この間はタクシーで銀座に行く前に電話し、「今から行く」などと偉そうに話していました。見栄っ張りなのかなぁ。

A子さんの話は、なんだか違う星の出来事に聞こえてきます。私の「ママ」のイメージが、偏っているからです。

新宿のゴールデン街の飲み屋でママをしている友人がいます。このママさんは500円でタロット占いもしてくれます。「来月に運が開けそうね」とか、けだるく予言します。この場末感こそが、この星のママのことでした。

奇しくもNHKの番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』が「銀座、夜の女たちスペシャル」と題して、ドキュメンタリーを放送していました。違う星の勉強に、観てみることにしました。

銀座で高級クラブを営む和風美人。白坂亜紀さんの密着取材です。妍を競う夜の女たちの舞台裏をのぞくことができました。高級クラブの入店料は2万数千円です。白坂さんは500円でタロット占いなんかしません。その代わり、シャンパンを頼むと数万円が追加されます。

夜の仕事が終わっても忙しそうです。午前中は年賀状やメールを書いたり、日経新聞や女性週刊誌で情報収集に励みます。頭のなかには客の個人情報も詰まっているそうです。客の好みの女性も、すぐにアウトプットできます。私なら、客の名前と顔を語呂合わせでなんとか覚えられる程度でしょう。

銀座の高級クラブは社交の場でもあり、名刺交換をしているビジネスマンもいらっしゃいます。まるで異業者交流会のように見えました。一見さんお断りかは番組で触れていませんでした。

その数万円あれば新型iPadが買えるな、と私は思ってしまいました。風采の上がらぬアップル信者は、やはり銀座の高級クラブよりもアップルストアに向かった方が幸せになれそうです。

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