北朝鮮のミサイルにGPSはついているの?人工衛星持っているの?

レビュー
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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いつでも電話に出られる金正恩氏。(イラスト筆者

桜舞う4月15日「散らせるもんなら散らてみやがれ」と大見得(みえ)を切ったかは、さだかでありません。金正恩氏です。

弾道ミサイルってGPSあるの?

北朝鮮はキム・イルソン主席の生誕105年の軍事パレードで、海外メディアに改良型の中距離弾道ミサイルを公開しました[1]。北朝鮮問題は、これまでになく緊迫しています。アメリカが軍事行動を起こしたなら、韓国・日本への反撃リスクはぬぐえません。

東京都内に住む私は北朝鮮からミサイルが飛来してくるイメージを、つかめずにいます。軍事専門家ではありませんので、素朴な疑問が浮かぶのです。北朝鮮のミサイルに航法支援GPSはあるのでしょうか? そもそも、人工衛星を持っているのでしょうか? 北朝鮮のミサイルは標的に命中させるだけの精度があるのでしょうか。

誘導できる人工衛星はあるのでしょうか?

いまから5年前、2012年12月。北朝鮮は光明星3号2号機という人工衛星の打ち上げを成功させています[2]。地上観測用のカメラやセンサーを搭載した地球観測衛星です。搭載したカメラの性能は高くなく、直径100メートル程度の物体を発見できる程度と言われています。

この人工衛星に、ミサイル誘導ができるのかは不明です。むしろ、この出来事は、ICBM技術が完成に近づきつつある脅威を示していました。

弾道ミサイルの設計思想

調べてみますと、そもそも弾道ミサイルの設計思想には、GPSなどでの誘導は考慮されていない[3]ことが分かりました。

日米韓で脅威となっているのは、大気圏の内外で弾道を描いて飛ぶ弾道ミサイルです。北朝鮮にはスカッド、ノドン、ムスダン、テポドンといった射程距離の異なる弾道ミサイルがあります。翼を持って、低空を水平飛行する巡航ミサイルとは違うものなのです。イラク戦争や湾岸戦争のピンポイント爆撃といった標的を絞ったイメージとはほど遠いです。

弾道ミサイルは、自力で加速するのは発射後だけ。その後は重力にまかせて、引っぱられます。大気圏に再突入する際の速度はマッハ25に達し[4]、電波は通じづらくなり、GPSの利用も難しい。軌道変更は不可能なのです[5]

いったん発射されると、着弾時までの精密な誘導は不可能。弾道ミサイルは、どこに落ちるか分かりません。だから、誤差を気にせず広範囲を焼き尽くすための核や、化学・生物兵器搭載が必要になるのです[3]

有事の際、北朝鮮は在日米軍の総司令部がある横田基地や横須賀基地を狙っているという分析もあります[7]。基地の場所は、どちらも東京の中心地から50キロほどです。都内どころか日本中、安全な場所はないのだと思いました。


【脚注】

  1. 北朝鮮 キム主席生誕105年で軍事パレード | NHKニュース
  2. 朝鮮民主主義人民共和国 – Wikipedia
  3. 弾道ミサイル – Wikipedia
  4. 核弾頭 – Wikipedia
  5. GPSと軍事利用について – その他(自然科学) 解決済 | 教えて!goo
  6. 弾道ミサイル – Wikipedia
  7. 北朝鮮を攻撃すればソウルで100万人が死ぬ | 韓国・北朝鮮 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
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