リアルな人生指南「50代からの貧乏ながら気楽な人生TV」

学びと読書
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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50代からの貧乏ながら気楽な人生TV(YouTube、写真=kimukuni)

私たちよりすこしだけ前の世代からのアドバイス。YouTubeのチャンネル「50代からの貧乏ながら気楽な人生TV」は、これから50代を迎える第二次ベビーブーマーにとって参考になると思った。

最近よく見ている「50代からの貧乏ながら気楽な人生TV」

最近よく見ているのがYouTube「50代からの貧乏ながら気楽な人生TV」。筆者は「学歴もなく頭も特別のスキルも持ち合わせていない」と自己紹介しているものの、文章からは経済的な知見と、人格の徳を感じる。YouTubeはブログの朗読版であるようだ。

筆者の語りには輝かしい成功体験といった上目線はない。むしろ、50代のリアルな転職の厳しさが伝わってくる。しかも、筆者が分析する日本の将来は厳しい。その一方で、どこかしら前向きさが感じてくる。

前向きに感じる理由は、運命へむやみにあらがわないからかもしれない。苦難には、人生の見えなかったプランに気づくきっかけが隠されているように感じた。

「底辺にいる人ほど成功する確率が高いというお話」は「成功地点に立つ以外に居場所がない」という言葉にハッとさせられた。

50代で非正規労働者となった場合の対応方法。他人事ではないので、自分のこととして見た。固定費の削減など地に足のついた助言が役立つ。不要なモノを処分することは大切だ。家族会議を開いて無理な借金をせず、家族内で分業して収入を図ることが大切だと説いている。節約という概念では改善せず、手放すことが大切なこともあるという。

人生は楽しいもの

現実の厳しさで思い出すのは、アフリカから出発した原生人類だったころの祖先たちの姿だ。熱帯雨林がサバンナ化したために祖先たちは木から下りて、二本足で歩かなくてならなかった。そのために手が自由になり、火も扱えるようなった。

追い詰められて、否応なく進化せざるをえなかったのだ。背水の陣で挑む姿とは、私たちの遠い祖先の姿とも重なる。

第二次ベビーブーマーはどのような50代を迎えるのだろう

当然のことではあるが、私たちは誰しも年齢を重ねる。何か悪いことをした罰ではない。しかし、体力や知力も衰えるゆえに転職も難しくなる。仕事がうまくいかないと、人格だけでなく、存在すらも否定された気分になることもあるだろう。

それにしても、この不確かな時代をどのように生きればいいのだろう。国や企業、家族や親戚や友だちが「私の面倒」を見てくれるのだろうか? 

ふつうに考えれば、人はその人自身のことでいっぱいいっぱいだ。基本的に自分のことは自分自身でフォローしたい。こう考えた方が、しぶとく生き抜くことができるのではないか。

70歳超まで働き続ける必要がある

年金制度がどうなるのかもあやしい。公的年金を運用に失敗して14兆円を溶かした[1]とか、支給年齢も75歳超から[2]とか、維持もあやうそうな新聞報道もなされている。第二次ベビーブーマーの私の場合は、しぶとく70歳超まで働き続ける必要がありそうだ。

雇用にとらわれない、収入手段やビジネスの準備をはじめておく必要がある。必要にせまられて準備しておくことだ。厳しいこともあるが、正直申し上げてロマンもある。

生活の糧を一つに依存しすぎることは危険だと思う。家族も共働きの方がいい。家庭内でも複数の収入源を持っていた方がいい。すなわち、リスクは分散した方がよい。20代のころからうすうす感じていたことだ。

思い出す50代の姿がある。私がまだ20代だったころの話だ。50代の姿とはある友人の母親である。友人の母親は貧乏であった。チラシや名刺を印刷する活版印刷の零細工場を自営していた。その母親は友人に「面倒みて、面倒みて」と言うのが口癖だった。その光景を見ていると、気が重くなったのを覚えている。強い依存心が不安を生んでいるように見えた。そして、母親の不安が周囲をも不安にさせるといった仕組みを感じた。

理由はよく分からないのだけど、人生は楽しいものだと私は感じている。やりたいことはたくさんある。やりたいことが企業に就職してできるのであれば、生活も安定するので一石二鳥だろう。ただし、そうならないことも多い。

複数の収入源を持ち、人生を満喫していくことも楽しいことだ。遊びと仕事は一体化していた方が合理的に思われる。ここで私がいう遊びとはPlayに近い概念であり、100メートルラインに向かってトライを狙うラガーマンの情熱のようなものだ。


【脚注】

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