マーケットプレイス詐欺に引っかかった件 Amazon怪しい出品者の格安商品

随想
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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マーケットプレイス詐欺

マーケットプレイス詐欺に引っかかるまで

11月17日。週末にお部屋でゴロゴロしていると、Amazonで100円という破格のBluetoothキーボードを見つけた。Amazonマーケットプレイスの出品者だった。AmazonマーケットプレイスとはAmazon以外の出品者が販売している売り場のこと。出品者は日本人の名前で、住所は東京都八王子市。(ところがあとで気づいたのだが、電話番号は「+86」から始まる中国のもの。日本なら「+81」)。

出品者プロフィール

100円では配送料すらペイしないはず……。購入前に、Amazonのカスタマーサービスへ確認してみた。あまりにも安いが大丈夫だろうかと。電話口の担当者は「評価はまずまず良いみたいですね」と言う。今思えば、これらの評価はやらせの「サクラ」だったのだが……。

今思えば「サクラ」の評価

担当者は心強い言葉を続けた。「もし問題が起こった場合、Amazonが出品者に直接掛け合います。問題解決にむけて間に入ります」

商品が本当に届くのか、好奇心もわく。もし送られてこなたって、損害は少ないし、まあいいやと安易に思った。購入ボタンを押した。

問題に気づくまで

注文が確定すると、数日後にステイタスは「発送済み」と変わった。配達予定は10日後の「11月28日まで」だ。待つ日数が長いので、数日後にはこの注文自体を忘れてしまった。実はこれで出品者の思うツボなのだった。

しかしというべきか、はやりというべきか28日を過ぎても商品は届かない。この注文の件を思い出したのは12月2日のことだった 。八王子市から発送でかかる日数ではもはやない。

注文の詳細

出品者が販売・発送している場合、問い合わせ先はAmazonではなく出品者だ。

「配送状況を確認」を押してみると

本来なら中国に国際電話をすることになる。しかし、不気味なので今回は出品者には連絡せず、Amazonのカスタマーサービスに話を聞いてみた。

出品者ではなく、カスタマーサービスに連絡

するとカスタマーサービスはこう言うではないか。「この出品者はもう出品停止になってますね」

手口

出品者は利用規約違反で出品停止になっていた。こういう場合、購入者には「Amazonマーケットプレイス保証」[1]が適用される。出品者からではなく、Amazonから注文代金が戻る。さすがFAANG。半歩先読みの対応をしている。

Amazon日本法人でEコマースを展開する知人の話によれば、出品者は購入ボタンが押されただけでは即時で入金されない。出品者が発送して売り上げは確定する。Amazonからの入金は月に1度。手数料などを差し引いてまとめて入金されるという。

知人の話が本当だとすれば、この業者は私からの「100円」を手にしていないかも。しかし、私がもし送られてこなくても、損害は少ないのでいいやと思い続けていたり、忘れていたり、Amazonマーケットプレイス保証の手続きをしなかったりしたら詐欺師の手元へお金は渡っていたことだろう。購入者のいい加減さにつけ込んだ手口である。非常にけしからん。金額は少額でも、複数の購入者から受注していたら、それなりの「円」になっている。

「マーケットプレイス 詐欺」でGoogleや知恵袋で検索すると多々ヒットする。ここ数年、詐欺業界のトレンドのようだ。

東京都八王子市の住所は、Google Mapでも見つかる。実在する出品者は乗っ取られたAmazonアカウントの可能性がある。出品者のアカウントが詐欺で利用されると、購入者からクレームが殺到する。精神的な苦痛を伴うので実害は大きい。

セキュリティ対策と教訓

Amazonではセキュリティ対策として2段階認証に対応している。アカウント乗っ取り対策で利用することにした。

Amazon.co.jp ヘルプ

今回、購入金額は保証された。しかし、被害は100円だけではなく。いくばくかの個人情報を詐欺師に明け渡してしまった。「住所」「私の名前」「私の電話番号」だ。苦々しい。ネット上を調べてみると、アカウントの乗っ取り被害の話題はあっても、抜き取られた個人情報をめぐる被害の話は見当たらない。性別や年齢を伴わない個人情報は価値がないという憶測もある。マーケットプレイス詐欺の目的は謎とされることも多い。は少額の金額を集めていると推測される[2]

個人情報が詐欺師に伝わったことは気持ちが良いことではない。Amazonでマーケットプレイス開設で不正に使われていないか、注意を払う必要がある。貴重な時間をむすっとしながら割かねばならない。

今後はマーケットプレイスの出品者から商品を購入する場合、可能なら住所を郵便局留め、またはコンビニ受け取りを指定した方が無難だ。

今回の教訓。君子危うきに近寄らず

 


【脚注】

  1. Amazon.co.jp ヘルプ: Amazonマーケットプレイス保証
  2. Amazonマーケットプレイス詐欺が大量発生 : 科学 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
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