【映画「オデッセイ」】火星でマット・デイモンがジャガイモづくり

随想
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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image by (C) kimukuni

映画「オデッセイ」(THE MARTIAN)は荒唐無稽です。監督はあの「ブレードランナー」のリドリー・スコットですのに、このヌルいできばえは、いったいどうしたことでしょう。

これじゃ、まるで筒井康隆のSFでは

火星探検に参加していました二枚目科学者のマーク・ワトニーさん(マット・デイモン)。砂嵐にまきこまれ、地球へ帰る宇宙船に乗りそこなってしまいました。火星でひとりぼっちです。水も空気もない世界での生活がはじまります。

地球との交信手段はありません。次に有人機が火星にやって来るのは4年後です。食糧も酸素も水も絶対的に足りません。しかし、持ち前のポジティブシンキングで乗り切ります。

しばれる夜はプルトニウムで暖をとり、ジャガイモ栽培に精を出しました。ワトニーさんは植物学者ですから、畑仕事もお手のものです。水は燃料の水素、土はうんちを使います。

ジャガイモ栽培、ご飯、うんち、土、爆発(水素から水)。ジャガイモ栽培、ご飯、うんち、土、爆発(水素から水)……。

放射能とうんちまみれの毎日です。同僚が残していったダサいディスコ・ミュージックに耳を傾け、まんじりともせず日々をすごすのでした。

ある日、NASAの上司たちが彼の生存に気づきます。火星を回る人工衛星が、野良仕事にいそしむワトニーさんの姿をとらえたのです。やっと、救出プランがはじまります。ところが、NASAの官僚どもは役立たずです。ロケットを発射したら爆発するわ、てんやわんやの大騒ぎ。食糧のジャガイモも底をつき、ワトニーさんは途方に暮れます。そこに、思わぬ救世主が現れます。なんと、なぞの中国人です。

ワトニーさんは地球へアセンションできるのでしょうか。

まとめ

「食糧も酸素も水も絶対的に足りません」とは言いますものの、いっこうになくなる気配がありません。アグリカルチャルなのんびりした映画でした。

火星の常識は地球の非常識。貧乏暮らしに陥っても、うんちで自給自足しようと思わぬように自戒したいと思います。水や空気がないのもつらいですが、女っ気ない禁欲生活の方がよっぽどつらいのでは。まるで、ノアの箱舟でひとり暮らしするような生活です。

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