デイブ・グロール 格好いい「大人」は絶滅危惧種でもないらしい

レビュー
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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 子どもの頃は、歳をとれば自動的に「大人」になると思っていた。しかし、社会に出てみると、どうもそうではないらしい……。子どもから「大人」になるために、教科書となるような手本がない。格好いい「大人」とは、まるでエベレストに住む雪男とか、ネス湖のネッシーとか、日本のどこかにいるというツチノコとか……。未確認動物のようだ。彼彼女らはどこにいるのだろう。こんなことを、若い頃は思ったものでした。

 

マスターを探す旅

媒体や作品を通して見つける

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 学校や会社や地域で、お手本となる「大人」と直接に出会えない可能性はあります。しかし、私たちは、間接的に格好いい「大人」たちと出会えます。本、CDやレコード、絵画、商品、Google検索……。作品や媒体を通して、格好いい「大人」たちを探し出すことができます。人によって、求めるべき手本は違うことでしょう。格好いい「大人」を見つけ出すことは、マスター(師)を探す旅かもしれません。これは、結構な楽しみです。

お手本としての親方デイブ・グロール

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 私には、格好いいと思う「大人」が何人かいます。スーツが自然に似合うブライアン・イーノとか、ローリング・ストーンズのメンバーで唯一離婚歴がないチャーリー・ワッツとか。裏方に徹するレッドツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズも。そして、音楽に対して安定した技量とバンド運営のマネジメント能力を併せ持つ元・ニルヴァーナのデイブ・グロールも、その一人です。バンドは会社のような小組織でもあるので、優れた親方の才能も求められることでしょう。

破滅的な人生ではあまり参考にならない

ブライアン・イーノ、チャーリー・ワッツ、ジョン・ポール・ジョーンズ。そして、デイブ・グロール

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 向こう見ずで破天荒な天才たちのドラマチックな人生は、数多く語られるものです。カート・コベインやブライアン・ジョーンズのような破滅的な人生は、ドラマとしては面白いけれど、私の人生ではあまり参考になりません。私は、仕事をマスターし、家族を大切にし、幸せな人生を送ることを強く望んでいます。私が格好いいと思う人たちは、仕事での成功を手に入れたばかりではなく、人生も充実して幸せそうな人たちです。

成功に導く普遍的な秘訣

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 ブライアン・イーノ、チャーリー・ワッツ、ジョン・ポール・ジョーンズ、デイブ・グロールは、どこかしら人の才能を引き出すことに長けていそう。フロントマンになるだけの技量を持ちつつも、名脇役にもなれる才能を持っている。自分自身を距離をもって観察できるように、ドラッグや酒や性…といった誘惑とも適度な距離を置き、周囲に対して肯定的な意見を示すこともできる。弱みを拡げるような誘惑とは距離を置くことは、ビジネスを成功に導く普遍的な秘訣だと思う。向こう見ずな者と旅をする羽目になっても、自分自身の道を間違えることもなさそう。これが、私が感じる格好いい「大人」たちです。

 

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