マンション理事長になった私 (第5回) 寄せられたクレーム
理事会の仕事は共有部分の維持管理ですが、住民間のトラブルを相談されることもありました。一番多かったのはタバコの煙。隣の戸建ての居住者からはマンション専用庭の木が邪魔で困っているとの苦情もーー。
(前回記事:[su_permalink id=”76187″])
(1) タバコの煙
理事会の仕事は共有部分の維持管理ですが、住民間のトラブルを相談されることもありました。一番多かったのはタバコの煙です。
マンションの一階に喫煙スペースがありましたが、喫煙スペースの汚れ、煙の臭い、火事の不安、喫煙スペースをなくしてほしい、などの強い依頼がありました。居住者にアンケートをとったところ「喫煙スペースは不要」の意見が大半だったため、喫煙スペースはなくなりました。
喫煙スペースだった場所はきれいになりましたが、喫煙場所をなくした居住者がくわえタバコで歩くのをよく見かけ、敷地内に吸い殻が増える結果に。家の中でタバコを吸うと壁が汚れるから換気扇の下やベランダで吸う人が多いですが、タバコの煙は遠くまで広がるので上下左右の居住者はとても迷惑です。
ある居住者は、家族が喫煙者のためよくケンカするそうです。臭わない電子タバコを勧めたそうですが、電子タバコは嫌がられたそうです。「どこで吸おうと自由だから吸う場所を決めないでくれ」「自分の家で吸って何が悪い」「マンションの喫煙スペースがなくなって困っている」「タバコは違法じゃないんだから何が悪いんだ」と反論され、話し合いはいつも平行線だそうです。
ある人から教えていただいた話ですが、サウナ部屋のような小さな部屋を作り、その中に空気清浄機を設置してタバコを吸えば煙は外に漏れないそうですが、一般家庭でそこまでできないと思います。
マンションの管理規約にはタバコについて書いてありません。「完全禁煙に管理規約を変えてほしい」とまで依頼をされましたが、タバコは違法ではないため「やめてほしい」と強制もできません。理事会を通して居住者に「タバコの煙で迷惑している方がいます」「タバコのポイ捨てはやめてください」などと注意喚起をするのが精いっぱいで解決案は見つかりませんでした。
(2) 成長しすぎた植物
ツタが壁を這(は)っている建物を「風情がある」と思う人もいれば「廃虚感がある」と思う人もいます。もし自宅の庭に隣の家のツタがはってきたらどうしたらいいのでしょうか。ツタで壁紙が剝がれている家をよく見かけます。
隣の家の樹木が成長して邪魔です。落ち葉、枯れ葉が飛んできます。実がなっていますが収穫しないので落ちています。植物は私たちの生活に癒やしを与えてくれますが、時々迷惑な存在にもなります。
ある日、隣の戸建ての居住者から、マンションの専用庭に生えている木が邪魔で困っていると苦情が寄せられました。
このときに知ったのは「いくら邪魔でも隣人が勝手に木を切ってはいけない」とする民法があることです。専用庭は居住者が管理するのが決まりなので、居住者と隣の戸建ての居住者で話し合い、木の剪定(せんてい)をしました。
マンションの共用庭にはシンボルツリーがあります。マンションが建てられたときから居住者と家族を見守っている、長年の居住者には思い入れのある木です。台風で倒れそうになったとき、木を切った方がいいと居住者から提案がありましたが、大半の居住者が反対したため、今でも残っています。
共用庭の木は管理組合が管理する、とされています。今は区のシルバー人材センターに枝切りを頼むこともあるようです。シンボルツリーは庭仕事が好きな居住者が木の周りに花を植え、土を入れ替え、大切に育てています。
【マンション理事長になった私】
[su_posts template=”templates/list-loop.php” taxonomy=”post_tag” tax_term=”1884″ order=”asc” class=”seriesbox”]