「重し」か「重荷」か? ユーロ圏経済にとってのイタリア財政

レビュー
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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2018年11月9日付朝刊の日本経済新聞国際面は「ユーロ圏経済に暗雲 中国減速や伊財政が重荷」という見出しで次のように報じています。

緩やかな回復が続いたユーロ圏経済の重荷となっているのが、米英に次ぐ輸出相手の中国経済の減速だ。イタリアの財政リスクも強まり、先行きは視界不良になってきた。

一方、同じ系列のテレビ東京「モーニングサテライト」は、同日にイタリア経済がユーロ経済圏の重しになっている、と報じていました。「重荷」と「重し」、どう違うのでしょうか?

大修館書店『明鏡国語辞典』は次のように説明します。

おも‐に【重荷】
〘名〙
①重い荷物。
②重い負担。
「━を下ろす(=責任を果たしてほっとする)」

おもし【重し(重▽石)】
〘名〙
①物を押さえつけるために上に置くもの。
「白菜漬けの━」
②人をおさえてまとめる力。それをもっている人。
「新会長は━がきく」
③秤はかりのおもり。

明鏡国語辞典 第二版 (C) Taishukan, 2011

すなわち、お荷物になっているようなネガティブな意味では「重荷」、組織をまとめたり成果を生み出したりするポジティブな意味合いでは「重し」なのです。美味しい漬物を作るための漬物石には良い印象がありますものね。

2019年はEUで欧州委員長の後任選びがあります。有力候補の一人はドイツ人のマンフレート・ウェーバーさんです。ウェーバーさんは欧州連合の「重し」になれる候補者か注目したいところですね。

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