【マネートレーダー/銀行崩壊】ユアン・マクレガーが演じる「損切り」の重要性

レビュー
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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マネートレーダー/銀行崩壊 [DVD]

山一証券などで活躍した投資家の東保裕之さんは、著書のなかで「投資で大切なのは、 小さな間違いを減らすことではなくて、 致命的な間違いを犯さないこと」[1]と書いています。損失を抱えて売買すると、冷静な判断・行動がとれなくなり、回復不能の事態に追い込まれてしまう。株式投資で偶然に賭けることはリスクです。

1995年、損失を抱えて売買し、しかもこの損失を隠蔽し続けたトレーダーによって、英国の名門投資銀行が破綻する事件が起きました。この破綻劇を描いたのが「マネートレーダー/銀行崩壊 [DVD] 」(2001年)です。

名優ユアン・マクレガーが、破綻の原因を作ったニック・リーソンを演じています。

20世紀末の投資銀行の社内風景や先物取引の雰囲気を知ることができます。映画の開始から結末は悪い予感ばかりが漂う。「最悪の悲劇は最高の喜劇」という言葉があるけれど笑える話ではなく、最後まで見るのは辛い。

架空の取引口座に隠蔽した損失は、最終的に銀行の自己資本より大きくなります。バクチやギャンブルのような仕事ぶりのニック・リーソンの姿は、危なっかしくて見てられません。そこには、冷静な判断・行動はありません。

かすり傷は負っても構わないけれど、致命傷を負ってはいけないことを思い知る。もしくは、損切りがいかに大切か身につまされる物語です。この映画の疑似体験は、機関投資家であれ、個人投資家であれ有益なトラウマになるでしょう。

一見をオススメします。


【脚注】

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