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忘却力のないAIはノイローゼになる? 史上最高の人工頭脳に必要なもの

レビュー
モクソン ホウ

法政大学文学部哲学科卒。編集関係の業務に従事。金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味は絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。

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怒りのピークは6秒であるとか、怒りをマネジメントする話題はことかかない。しかし、6秒で鎮まらない怒りには困ってしまう。こんな苦々しい経験がある。洗濯物がたまって、下着がなくなり、海水パンツを履いて会社に行ったとか。

パンツがない、このやり場のない怒りは、どこに向けたら良いのだろう。かくなるうえはと、着用している海パンのことは忘れようとしてみた。とはいえ、忘れたいことは忘れられず、忘れちゃいけないことを忘れてしまうから、人生はままならない。

どんなに素晴らしい頭脳でも、忘れる力がないと、ノイローゼになってしまう。映画『2001年宇宙の旅』で登場する人工知能の「HAL(ハル)9000型」などは、その最たるものだ。

探査ミッション遂行のため、HAL 9000は乗員と話し合い協力するよう命令されていた。しかし一方で、密かに与えられたモノリス探査の任務について、ディスカバリー号の乗員に話さず隠せという命令も受けていた。『2001年宇宙の旅』では、これら二つの指示の矛盾に耐えきれず異常をきたし、ユニットの間違った故障予知をはじめるなど奇妙な言動が起こり、最後には自分を停止させようとする乗員を排除しようとしたと考えられている。乗員が(死んで)いなくなれば永遠に話さずに済む。ミッションは自分だけで遂行すればいいとHAL 9000は考えたことから、「コンピュータの反乱」の象徴ともなっている。

出典:HAL 9000 – Wikipedia(閲覧日:2016/05/25)

無茶なミッションには人工頭脳だって混乱する。

ところで、水戸黄門には「うっかり八兵衛」といううっかり者が登場する。こちらの方が旅のお供には退屈しない。面白いことをするし、辛いことも、悲しいことも、次回まで持ち越さない。人工頭脳も「うっかり八兵衛」を学習すれば良いのだ。

忘れられないなら、仕方がないことにする。消えない怒りはそのままで、「温かいデータ」を増やすことも妙案だ。そんな技術を身に付けてみることにした。洗濯物がたまって下着がなくなったので海水パンツを履くような日は、会社をうっかり休み、洗濯をしよう。きっと気持ちよかろう。

うっかり者で、そこそこ忘れる技術に磨きをかけたおっさんは、最強のスペックといえる。未来において史上最高の人工頭脳は、適当なおっさんっぽくなっているに違いない。

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