マンションの水漏れ事故

随想
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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イラスト・筆者

 日付が変わる午後23時頃。雨音が静かに聞こえたので、窓を開けると、綺麗なお月様がでていた。お月様??雨じゃないなら、この「雨音」はいったい何だ?ポタポタと天井から水がしたたりはじめ、次第に滝のように水が落ち始めた。

 

深夜の事故は、収束を遅らせる……

 真上にある五階の部屋の玄関に行った。何度もインターフォンを鳴らした。しかし、何の反応もない。水漏れの不気味な音が、更に上の階から聞こえていることに気づいた。六階に行くと部屋の玄関から水が流れていた。部屋のなかからは、何かが吹き出している激しい音がしていた。インターフォンを何度も鳴らした。しかし、この部屋からも誰も出てこない。部屋の家人に呼びかけることは、諦めたのだった。

 マンションに長く住み続けている方に起きてもらって、助言を頂いた。部屋の水の元栓を閉めて、やっと止まった。

水漏れ事故は、火事に匹敵する

 水漏れの原因となっている部屋の元栓を止めた後も、私の部屋には数時間、水が落ち続けた。天井の壁紙ははがれてしまい、歩くと湿地を歩くような音がした。内装工事が必要だろう。

気丈な妻も疲れて泣く

 翌日、火災保険に電話をした。水漏れの原因となった部屋の若夫婦がお詫びに来た。なんでも、病院のお仕事をしていて夜勤で、家人は留守だったそうだ。
五階に住んでいたのは、腰が悪いお婆さんで、起きることができなかったそうだ。

 水漏れの原因は、全自動洗濯機の水道口の留め金が外れてしまったとのことだった。

 保険会社との段取りを決めて、一段落すると、妻が疲れて泣き始めた。保険会社が段取りを組んでくれるとはいえ、大切な部屋が台無しになってしまったのだから仕方がない。

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