【E-BOW、ギズモ、バイオリンの弓】ギターの持続音を無限に延ばす方法

レビュー
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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E-BOW(Illustration by kimukuni)

 倍音を含むギターの音色は、瞑想的です。長い間聴いていたくても、弦の振動はいつか止まります。無限に音を出し続けることはできないのでしょうか?

ギターの持続音を長くする挑戦の数々

 弦楽器の弦をはじきますと、徐々に音が小さくなっていくものです。 ギターアンプで音を歪ませますと、比較的持続させることはできます。しかし、無限というわけではありません。

 持続音を長くする試みは、さまざまなアーティストやエンジニアたちよって試みられてきました。ジミ・ヘンドリックスのフィードバック奏法。ジミー・ペイジや、シガーロスのヨンシー・ビルギッソンのように、バイオリンの弓を使ったボウイング奏法などは有名です。

 https://www.youtube.com/watch?v=AIHabvURnpk

 このほかに、ギズモ(市販名は「ギズモトロン」)というアタッチメントもあります。音楽マニアにとっては語り草の発明品です。1970年代半ばに10CCのゴドレー&クレイムによって開発されました。残念なのことに、21世紀に入るまで、一般の人々には長らく忘れられていました。

 

 仕組みは驚くほど独奏的です。回転するホイールで弦をこすります。ギターのサステインを無限に伸ばし、ヴァイオリンやヴィオラ、チェロのような音を作ることができます。

 https://www.youtube.com/watch?v=BbFL0RxBhds

 ほかにも、サスティーナーなどエフェクターを使う方法もあります。もっとも、無限に音を延ばせるわけではありませんが。

それぞれの魅力と欠点

 フィードバック奏法は荒れ狂うような迫力です。しかし、どこでもいつでもできるわけではありません。巨大なアンプと大音量が必要です。日本の狭い住宅事情では、練習するのは難しいでしょう。

 弓を使ったボウイング奏法は独特の空間を表現できます。しかし、使える弦は一弦と六弦がメインになってしまいます。弓や弦に松ヤニを塗る必要もあり、メンテナンスが面倒です。

 ギズモにいたっては希少品です。売っているお店探しから始める必要がありあす。

E-BOWを使う方法

 E-BOWもギターの持続音をのばす道具です。わりと、街の楽器屋で手に入りやすく、メンテナンスや使い方も簡単です。

 ブラックボックスですので、素人が分解することはできません。どのような仕様なのか、私は分かりません。9ボルトの電池を使っていますので、電磁石なのでしょう。

 E-BOWにしても、魅力と欠点はあります。欠点として、故障のリスクが挙げられます。先ほど指摘したようにブラックボックス仕様なので、自力で修理ができません。さらに言えば、演奏時に動きに満ちた演出もできません。一度に1本の弦しか音を出せません。分散和音ならできますけれど。

 これの欠点を差し引いても、充分に実用的で魅力的です。最大の魅力は、なんといってもその音色。

 例えば、デビット・ボウイのライブで「David Bowie – Heroes (live)」でも、音色の魅力を確認できます。

 https://www.youtube.com/watch?v=bsYp9q3QNaQ

 E-BOWがあれば、ロバート・フィリップがいなくてもHeroesを再現できますね。

Roger Eno with Kate St.John – days of delay

 https://www.youtube.com/watch?v=dL1zSdlaJWw

 RodgerEnoのdays of delayを聴いて、E-BOWの魅力にはまりました。聞き慣れたエレクトリックギターの音色とは違います。オルガンのようです。

 ミュージシャンではない私も、これで時々遊んでいます。直感的に演奏できるので、瞑想的な心地になることができます。

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