時価総額・世界一 アップルとマイクロソフトで入れ代わる

技術
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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画像=PhotoAC

マイクロソフトの時価総額が11月30日にアップルを抜いて世界最大になったそうだ[1]。時価総額とは株価に発行済株式数をかけたもの。人気投票の得票数のようなものだ。

これは華々しく追い抜いたというよりも、アップルが真っ逆さまに落ちてきたように見えた。アップルは8月に時価総額で1兆ドルを突破していた。しかしその後、11月30日の終値で8474億ドルまで急降下している。一方、マイクロソフトは同日8512億ドルだった。

アップルの不振をアナリストたちは様々に分析する。スマホ市場が頭打ちになっているから。新型iPhoneの値段が高額すぎたから……。アップル信者(それは私のこと)の購買意欲もそいでしまうほど、iPhoneⅩS MAXは高額だった。しかし原因はそれだけではないだろう。

今年は機種変更するにはタイミングが悪いのだ。来年2019年は超高速の次世代無線通信システム「5G」元年である。5Gは4Gと比べると通信速度は約100倍だ。業界の準備は着々と進んでいて、例えば総務省は先月、通信事業者に割り当てる電波の条件案を公表した。

ところが、今年18年に通常どおり「2年縛り」で機種変更してしまうと、次の機種変更は20年になってしまう(人によっては「4年縛り」もいるだろう)。これでは当面、5Gを指をくわえてみていることになる。

ここらへんのユーザーの事情を、アップルは考えていないようだ。今年投入した最上位機種はばかみたいに高額な機種だ。当然のことながらそれは4Gの機種である。大きなディスプレーも魅力だが、いまあるiPhoneでテザリングしてiPadを使うこともできる。

株価低迷や販売の不振からアップルは新型iPhoneのプライスダウンを11月からしはじめた。そうしたところで、間の悪さ自体は変わらない。今年は1年後に気軽に機種変更できるような廉価版を出すべきだったのだ。一息つけるような機種。たとえば新型iPhoneSEとか。

今年の新型iPhoneには、あまり心が躍らない。私は衝動買い以外に購入するきっかけが見当たらない。なんだか、1990年代の空回りするアップルを見ているようだ。心配だ。


【脚注】

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