紙の本をテキスト化し、校正し、Wordや自分だけの電子書籍を作る

技術
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

木村 邦彦をフォローする
脚註、柱、ページの部分を切り落とし、正方形になった東浩紀著『観光客の哲学』

脚註、柱、ページの部分を切り落とし、正方形になった東浩紀著『観光客の哲学』

この世の本すべてが電子書籍ではない

通勤時間、仕事の休憩、旅の合間…。いつでもどこでも、本を持ち歩きたい。分からないことは、辞書や百科事典ですぐに調べたい。会議や読書会などでは、関連する各資料にいち早くレファレンスしたい。条件を満たすのは、やはり電子書籍です。

私の目は紙の本と相性が悪い。電子書籍では、なぜか飛ぶん症が気にならない。この世の本すべてが、電子書籍とはかぎりません。ない場合は、どうしましょう? 仕方ありません。個人利用の範囲内で、電子書籍を自力で作ります。

数日前に東浩紀著『観光客の哲学』を新本で購入しました。ゲンロン0 観光客の哲学

本書は2017年6月30日現在、電子書籍版の販売はみあたりません。届いた新本を裁断するのは忍びないですが、脚註、章題名、ページ部分を裁断機で切り落とします。

厚い本は、ハサミで半分にしてから裁断するがコツ

厚い本は、ハサミで半分にしてから裁断するがコツ

脚註やページなどを含む下部は裁断し、本文だけをテキスト認識させる

脚註やページなどを含む下部は裁断し、本文だけをテキスト認識させる

次にドキュメントスキャナーScanSnap)でPDF化、テキスト認識アプリ(Adobe AcrobatFineReader)でテキスト化し、Wordファイルに変換します。

不正確な文字認識が多く含まれています。読書には、まだ耐ええません。粘り強く校正をする必要があります。気合いが必要です。仕事の合間などに行いますので、2週間ぐらいかけます。この作業は「精読」の時間も兼ねています。最終的には、このWordファイルを(たとえば「一太郎」などを使い)、ePubへファイル変換すれば電子書籍のできあがりです。

Wordファイルのままでも便利

ePubに変換せず、Wordファイルのままでも便利です。Wordのハイパーリンクやコメント欄などを使いたおせば、構造的に関連付けられますからね。もともと本書にはない、関連資料や図版を本分に加えてゆけば、巨大なサブノートへ成長してゆくでしょう。Wordファイルを使う利点は、手軽に内容を編集できることにほかなりません。

電子書籍(ePub)化の利点

電子書籍化することにも利点があります。スマートフォンやタブレットでなら、すばやく各章題へ移動できるます。iOS版のWordアプリでは、PCなどでは見えるナビゲーションウィンドウの目次が現れないものがあります(たとえばMicrosoftの純正アプリ)。読書会などで、すばやく該当のページに移動できないと、けっこう痛い思いをします。

電子書籍化すると、本の内容は原則編集できません。間違って内容変更する心配がない、という意味では利点です。画面は、通常はリフロー型です。画面サイズや文字サイズが変わると、それにあわせてテキストやレイアウトも変わります。お好みのePubリーダーで読書できる幅も広がります。

東浩紀著『観光客の哲学』を電子書籍化する個人的なプロジェクトははじまったばかり。校正を兼ねた、精読をしています。7月なかばぐらいに電子書籍化の作業はおわり、読了する予定です。

PR
タイトルとURLをコピーしました