
筆者のiPhone
満足できる電子書籍リーダーアプリが欲しくなった理由
テキスト読み上げ機能を「text-to-speech」(TTS)と呼びます。TTS機能が備わったアプリなら、電子書籍をオーディオブックとして楽しめます。紙の本では味わえない醍醐味です。
i文庫Sに満足できなくなった
私は、長らくPDFを読むために「i文庫S」を愛用しました。自炊した本や青空文庫などを読むためです。TTSの機能も備わっています。しかし、対応しているファイルはtxtとpdfだけで、EPUBは開けません。このことに不満を感じはじめ、新しいアプリを探すことにしました。
EPUBがPDFより便利な点
EPUBが便利なのは、柔軟に書式を変更できることです。
- 文章の大きさを変えたり、書式の変更ができる
- 単語の検索ができる。
- 文章にアンダーラインを引くこと(ハイライト表示)ができる。
電子書籍リーダー選び、3つのポイント
ゴミアプリを購入したり、かすり傷を負いながら、なんとか気に入るアプリと巡り会いました。この回り道の経験のなかで電子書籍リーダー選びで、3つの確認ポイントに気づきました。
- 対応ファイルの確認
- 音声エンジンの確認(快適さに関わります)
- 同期方法の確認(DropBoxなどクラウド対応が便利です)
もちろん価格も重要でしょう。でも、聴いたり操作する快適さの方が、最終的には重要です。EPUBに対応してTTSの機能があるアプリを探しました。この旅のなかで出会った、印象に残ったアプリたちを解説しましょう。
Recitator
良かった点
Recitatorは、数百円の低価格です。日本語音声エンジンにはKyokoやOtoyaといったスタンダードな声音以外にも、女性の声は「O-ren(オーレン)」、男性の声は「Hattori(ハットリ)」といったSiriの声も選択も可能。Hattoriが使えるアプリは、ありそうで少ないので、日本語音声は充実していると言えます。
読み上げた単語にアンダーラインが引かれるので、どこを読んでいるのか目で追いやすい。dropboxやGoogleDrive、OneDrive、iCloud Driveにも対応。
いまいちな点
目次から該当ページに飛ぶ基本機能がない。ブックマーク機能がない。したがって、手動で該当のページまで移動しなくてはならない。縦書き機能は未対応です(筆者は横書きの方が好みですが)。
総論
しばらく、私はこのアプリを愛用しました。「O-ren(オーレン)」や「Hattori(ハットリ)」はKyokoに比べると聴きやすい。無料版「Recitator Lite」もあるので、まずはこちらで試してみても良いでしょう。
手動で該当のページまで飛ばなくてはならないのは、このアプリの大きな欠点です。しかし、その欠陥を良かった点を補ってあまりある使いやすいアプリです。読み上げた単語が分かり、フォントのサイズも小さすぎず大きすぎない。なにより、値段がリーズナブル。多くを望まなければ、このアプリは及第点だと思います。
Gitden Reader
良かった点
Gitden Readerは、無料アプリです。日本語縦組み対応するアプリは少ないなか、このアプリは対応しています。目次から飛ぶ機能、ブックマーク機能もあります。
いまいちな点
画面上部に「クラウド」という項目があるのに、DropBoxやiCloud Driveを同期できる形跡は見つけられない。日本語音声エンジンはKyokoだけ。頻繁に落ち、動作もやや不安定。左めくりができない。日本語は、有無を言わさず縦組みにされてしまうことがある。
総論
もともと横組みだったテキストが、縦組みにされてしまうことに閉口しました。プログラムや語学の勉強に支障があります。
縦組みに対応しているアプリは少ないので、この点に関してはアドバンテージがあります。左めくりにする設定は見当たりませんでしたが、「スクロール」にすれば違和感は減るでしょう。小説など文学向きだと思いました。
NaturalReader Text to Speech Pro
良かった点
NaturalReader Text to Speech Proは、やや高めの有料アプリです。dropboxやGoogleDrive、OneDriveに対応しています。目次から飛ぶ機能、ブックマーク機能があります。動作が安定している。Webページも読み上げてくれます。英語圏に親和性があります。外国のニュースサイトを読むなど、語学学習には役立つかもしれません。
いまいちな点
無料版を試して、デザインの美しさで購入を決めました。しかし、この購入は失敗でした。失敗の原因は、音声エンジンの確認をよく確認しなかったことです。
日本語音声エンジンはKyokoだけなことにイラつきを感じる。ズーム機能は日本語ではなぜか機能しない。文字が小さいので、本物の虫眼鏡が欲しくなる。2016年12月7日現在、iCloud Driveには対応していないようです。縦書き機能は未対応です。
総論
1200円で購入しましたが、元を取れたか自信はありません。しかし、文字が小さいこと以外は大きな欠点はないので、要所要所で利用するでしょう。
Text Parrot
良かった点
Text Parrotは、独創的な無料アプリです。Androidスマホを使っている方には馴染み深い(アストロファイルマネージャーのような)ファイル管理アプリと同じ使い方をします。DropBoxと親和性があります。DropBox側にあるファイルをコピーして、iPhoneのローカルに貼りつけます。
setting > Reading & Writing Setting > Voice Language すなわち言語設定で「Detect language」(自動言語検知?)を選ぶと(精度は良くないけれど)各言語の音声エンジンが並行して動きます。
いまいちな点
Androidユーザーが日々使うファイル管理アプリも、iPhoneユーザーには馴染みが薄く、とっつきづらさを感じるかもしれません。縦書き機能は未対応です。
ここまでのまとめ
非常にユニークなアプリです。電子書籍リーダーとしてよりも、ファイル管理のアプリとして活用法を期待できそうです。でも、DropBox側のファイルを間違って削除しないように、操作には注意も必要ですね。
Recitator,Gitden Reader,NaturalReaderにはそれぞれ不満が残った
Recitator、Gitden Reader、NaturalReader…。これ以外にも、さまざまなアプリを試しました。どれもが一長一短です。発展途上のジャンルなのかもしれないと、半分諦めていたとき、やっと満足できるアプリと出会えたのです。
Voice Dream Reader
Voice Dream Readerは、本当に素晴らしい。音声合成エンジンも充実していて、なかでもmisakiが聞きやすい。この記事を書いている時点での値段は1800円です。価格に見合う価値は充分にあります。
このアプリには専用の発音辞書も装備されています。古い日本文学を読むための旧仮名遣い用だったり、プログラム言語用の発音辞書をそれぞれ使い分けるのも良いでしょう。(オリジナル発音辞書のインポートとエキスポートには、少々コツや工夫がいりますが)
私の書庫はDropBoxのなかにあり、膨大な量のPDFやePubがあります。もしくは、読みたいウェブサイトのページをEVERNOTEにクリップさせて、Voice Dream Readerと同期する読書もします。
このアプリと出会って、人生が画期的に変わりました。あれこれ試すより、まずはVoice Dream Readerに投資してみるのもオススメです。