パスワード管理の大切さをiCloudキーチェーンで学ぶ

技術
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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 Macintoshの最新OS X 「Mavericks」が、10月22日に配信されました。さまざまな話題がありますが、ここでは新機能のひとつiCloudキーチェーンについて紹介します。
難しいパスワードは記憶しなくても大丈夫
iCloudキーチェーンは、インターネットをしたときのログイン情報を、PCやiPhoneなどで共有するものです。たとえば、Googleなどにログインすると、iCloudキーチェーンで共有されているパスワードが自動的に表れます。

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 現在のところ、OS X「Mavericks」のみの対応です。iOS版は今後のアップデートで、利用と共有が可能となりそうです(対応時期は未定)。Macintoshでの設定方法は、次の通りです。

  • Macintosh:「システム環境設定」>「iCloud」>「キーチェーン」にチェックをつける。
  • safari:>「環境設定…」>「自動入力」>「ユーザー名とパスワード」など必要項目チェック

 パスワード管理アプリは、もう不要か?
Apple社はiCloudキーチェーンを、以下のように定義しています。

 「パスワードをいくつも覚えておくのは本当に面倒なもの。でもこれからは、iCloudキーチェーンがあなたに代わってパスワードを記憶します」

 私は、人気パスワード管理ソフト「1Password」の機能を連想しました。1Passwordは、AppleStoreでトップセールスに君臨する人気アプリです。App Storeでは、次のように説明されています。とても似ています。

 「パスワードを忘れたことはないですか? 1Password はすべてのパスワードを記憶して安全に保管します。あなたが覚える必要があるものはマスターパスワードただ1つです。」
https://itunes.apple.com/jp/app/1password/id568903335?mt=8&ign-mpt=uo%3D4

 このように、ほとんど同じ語り口調です。
「クレジットカード、セキュアなメモ、パスポート、銀行口座やその他の情報を保存」「セキュリティに関する質問を覚えて安全な答えを生成」「米国政府認証の 256 ビット AES 暗号化によりあなたのデータを保護」…。iCloudキーチェーンの登場で、1Passwordのようなパスワード管理ソフトやアプリは、もう不要なのでしょうか。
結論を言ってしまえば、一部競合しますが、今後も「1Password」は必要とされるでしょう。大きな違いは、iCloudキーチェーンで管理できるのは、iCloudの範囲内に限定されることです。以下は、その違いです。

  • iCloudーキーチェーンはMacOSとiOSのみだが、1PasswordはMac、Windows、iOS、androidに対応している。
  • iCloudキーチェーンはsafariのみに対応だが、1Passwordはsafari、Firefox、GoogleChromeに対応している。
  • iCloudキーチェーンのパスワード自動生成が分かりづらい(操作方法は現状不明)が、1Passwordは明瞭。

 パスワード管理の道は続く
iCloudの範囲内に限定されるiCloudキーチェーンは、パスワード管理アプリとして万能ではないでしょう。しかし、ブラウザはsafariだけ、PCはMacだけに限定して使えば、iCloudキーチェーンだけでもセキュリティを意識したパスワード管理はできます。パスワード管理の手ほどきをiCloudキーチェーンで学び、必要があれば1Passwordへ世界を広げてゆく道筋も考えられます。
自分でパスワードを考え、記憶し、入力するのは大変です。ひとつのパスワードを使い回すのはもってのは、もってのほか。パスワード管理では、新しい時代がすでに始まっているようです。

 

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